成年後見制度利用促進計画(司法書士ゆうなの直言3)
東洋経済の「認知症の親が増え跋扈する「成年後見ビジネス」/家族を向こうに弁護士や司法書士たちが群がる」
https://toyokeizai.net/articles/-/444455
は、少し書き過ぎという気はしますが、一読の価値があります。
私も公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの会員として、日々、高齢者・障がい者の権利擁護にかかわり、悩みながら現在の制度の中でもっとも本人の権利擁護に叶う(つまりは本人の思いを実現すること)事務を遂行するように心がけています。
しかし、成年後見制度が正しく高齢者・障がい者の権利擁護をしているかといえば、この記事が指摘するとおり、残念ですが〝それは違う!〟と言わざるをえません。
日本は障がい者の権利条約を批准していますが、条約委員会は、日本国に対して「代替的な意思決定体制の廃止を視野に入れ、すべての差別的な法規定と政策を廃止、支援付き意思決定メカニズムを確立すること。」(2022年9月9日国連委員会による日本への総括所見)という勧告しました。つまり、包括的な代理権(つまり成年後見制度)を否定しているのです。
このことは当然国わかっています。国の成年後見制度利用促進基本計画 https://www.mhlw.go.jp/content/000917303.pdf をお読みいただければお分かりになると思いますが、成年後見制度利用促進という名称ですが障がい者の権利条約を強く意識しています。
私の所属するリーガルサポートも意思決定支援に大きくシフトチェンジしようと模索しています。
成年後見制度は、ほぼ包括的に成年後見人が本人を代理するという制度です。いいようによりますが、後見人には保佐人・補助人に比べて多くの権限があります(逆説的には、本人の権限が制限される)。これを条約委員会が条約違反であると強く指摘している理由です。
後見人は本人意思を尊重しなければなりません(民法858)。
保佐人は一定の行為の取消権があるだけです(民法13条)。
ちなみに、ナント荒川区は成年後見制度の申立費用や報酬助成についての施策を準備していますが、成年後見制度利用促進基本計画が制定されていません。
荒川区は、成年後見制度に頼るだけでない本人の自己決定を最重要にした「成年後見制度利用促進基本計画」を速やかに策定する必要がある!
荒川区の成年後見業務を務める司法書士山川裕菜は、強く訴えたいです!